海にかえる道

考えるだけ無駄なこと、とことん考えてみる。日々の覚書。

アニーを見て思い出した夏の思い出

昨年の夏、長期休暇に帰省していたときの話。決まって毎朝8時、近所の子どもが弾くピアノの音色が聞こえてきた。ピアノといってもマジなやつではなくて、多分おもちゃのキーボード。

 

うちの母は「毎日アニーのトゥモロー弾いてるのが聞こえてくるのよ」と言っていたが、よく聞くとどうも「トゥモロー」とは違う。その曲は「パプリカ」だった。確かに歌い出しの部分は似ている。近所の子は、最初の部分を何度も何度も繰り返し弾いていたので、トゥモローに聞こえるのも無理はない。その子は毎日必ず同じ時間に練習を続け、お盆も過ぎた頃、ようやく「パプリ~カ」の部分(サビ)に到達。やっぱりパプリカだったわ、と母に報告しておいた。

 

私も音楽教室に通っていたことがあったが、熱心に練習していた記憶はまったくない。せいぜい週イチだった。レッスン前日に1~2時間、当日に45分程度の練習。夏休み終了直前に課題に追われる小学生よろしく、毎週毎週焦りながら練習をしていた。しかし、怪我の功名とでも言うのだろうか、私は練習のサボり癖のおかげで異様に初見演奏が得意になった。

 

毎日欠かさず20分ピアノ練習をする近所の子に対して、尊敬の念を抱く一方で、もうちょっとサボってみたら逆に早く先に進めるのでは?と悪魔のささやきをしたくもなった。あまりにも同じところばかりを繰り返すので、全体をざっと通すのもありやで、とおせっかいBBAコメントをしたくなる。

 

先程も書いたように、その子が使っているのは(音色からして)鍵盤数の少ないおもちゃのキーボードのようだった。せっかく毎日練習する気力と根性と熱意があるのだから、良い楽器を買い与えて欲しい気もした。もちろん、本人が楽しくできる環境が一番ではあるが。

 

その子が毎日ピアノを練習しているのを聞くたびに、かつての自分の、練習に対するなまぬるい意識に嫌気がさすのであった。