海にかえる道

考えるだけ無駄なこと、とことん考えてみる。日々の覚書。

欲望に負ける

事務バイトでバッキバキになった身体ではどうもいけないと思い、散歩に出かけた。

目標3km。時間にして3~40分。田舎道をただただ歩く。目的地があるわけではない。というかそもそも田舎にはなにもない。3km歩いても飲食店すらない。コンビニはかろうじて1つ。

そんな道を歩く。山を見るくらいしかやることがない。

 

足元に目を向ける。小さな紫の花が咲いていた。川の水は驚くほど澄んでいて綺麗だった。池があったので覗いてみたが、魚はいなかった。

 

田んぼと田んぼの間の、真っ直ぐな道を歩いていると、遠くに小さな人だかりができているのが見えた。横の道から小学生の親子が歩いてきて、またその人だかりへと吸い込まれていく。なにか事故でもあったのだろうかと、恐る恐る近づく。

 

 

そこは消防署であった。なんの変哲もない、ただの、小さな消防署であるが、休校措置で暇を持て余した親子が数組、敷地外から見学していたのであった。

 

私もその消防署の真横を通ってみた。目的は不明だが、一人の消防署員が放水しているのが見えた。親子はそれを歓声を上げながら見ている。

みんな退屈しているのだろうなあ、と思った。休校になっても遊びに行けるわけでもない。そんな中で休みの取れた親と一緒にゆっくり散歩する、そんな時間も良いものだろうなと勝手に思う。

 

私はまた一人で散歩を続ける。

自転車を押す小学生男子二人とすれ違った。「こんちはっす」と挨拶されて驚く。めっちゃ教育行き届いているじゃん(?)

東京にいるときはたくさんの人間で溢れていたが、挨拶なんてもちろんしないし、していたらきりがない。

驚きのあまり反応が遅れ、なんとも言えない微妙な角度で会釈をするにとどまった。いやいやコミュ障かい。小学生のほうがよほどしっかりしている。

 

そろそろ1kmかなという地点で折り返すことにした。帰りは少し違う道をゆく。古い民家が並ぶ道には人っ子一人いなかった。

 

また黙々と歩く。ふと右を見ると、大通りを挟んだ向こうの住宅街から歩いてくる人の姿が見えた。おじいさんとおばあさんと、その孫だろうか。手をつないで歩いていたが、ふいにおじいさんはその手を離すと、大きく手をふりだした。

 

私に手をふっているのか、そうではないのか。いや、そもそも手をふっているわけではなく、何かの体操かもしれない。そんな気がしてふり返すことはしなかった。何が正解だったのだろうか。

 

彼らに気が付かなかった風を装って、また歩く。

 

今度は両手に薪をの束を持って歩くおじいさんとすれ違う。令和になっても、うちの地域では薪ストーブを使っている人がいる。素敵だ。おじいさんの足腰はとてもしっかりしているようだった。

 

そんなこんなで目標の3kmに達成しようかという頃、無事帰宅した。もうすっかり春の日差しで、春用のコートでは少し汗をかいた。いい汗かいたぜ、とすぐにシャワーをあびる

 

風呂上がり、なんとなくポテチを食べたくなって数枚食べた。

 

 

いや、歩いた意味…