海にかえる道

考えるだけ無駄なこと、とことん考えてみる。日々の覚書。

大学ってなんぞや ~オーキャン珍道中#3~

~前回までの振り返り~

史学科を志し、オーキャンに赴くが、未だ志望校は見つからない。

~~終わり~~

 

史学科がある学校を調べてわかったのは、(日本史に関して)関西の学校は中世に強く、関東の学校は近代に強い。自分がどの時代を中心に研究したいのかを明確にする必要があった。とはいえ、京都は暑い。近代はさほど興味ないし…

 

 

史学科目指すのやめるか。

 

簡単に諦めるほどの覚悟だったのかと問われたら、そうだとしか言いようがない。

史学科は就職に弱く、それでいて研究職も難しいという、将来の見えにくい学問であると親や先生からの進言もあった。決意は簡単に揺らいだ。

 

親「やりたいことがない人間ほど、つぶしのきく学部に言ったほうがいい」

担任「興味のないことは続かない。無理していった学部ではやめてしまう」

 

いろいろな意見に悩まされる日々。

 

友達に誘われて、今度は地方の国公立大のオーキャンにでかけた。

電車ではるばる3時間ちょっと。遠くの大学にまで足を運ぶ友達の真面目さに、同じ受験生でありながら感心していた。友達とガイダンスを聞き、いくつか授業を覗いた。

私はお昼に食べたご当地グルメが美味しかったなあとぼんやり考えていたが、周りの学生はとても真面目そうで、質問もたくさんしていた。これまで見たどの大学のオーキャンより前のめりな生徒が多かった。

 

「私はもう十分だから、次はそっちの見たいところいこう」と友達が言ってくれたので、経済系の学部のゼミを覗くことにした。このときの私には、ゼミがなにかもわかっていなかったのだ。

 

教授と6人ぐらいの学生が狭い教室に集まっていた。確か皆大学3年生で、その日は卒論のテーマ発表だった。空気は妙にピリついていた。ある男子学生はたしか、「明治時代に経済政策を行った偉人」について卒論を書くと言っていた。ゼミの先生は「それが、何の役に立つんだ?」と問い詰めた。「調べるだけなら君の自己満、趣味だろう。社会の何の役に立つのかと聞いているんだ」と厳しい口調で続けた。結局男子学生は口を噤み、微妙な空気のまま授業は終わった。

 

 

怖っっっっっっっっっ

私は恐れおののいた。今では、その先生の質問が「研究の動機」を聞こうとするものだとわかるが、当時の自分としては、「私も経済系の学部にいったら、卒論はなんとか自分の好きな歴史に絡めて書きたい」と思っていたため、自分の興味だけで書いたらただの自己満で終わってしまうのか、社会の役に立たないとダメなのか、と現実を突きつけられたようで、なんだか絶望してしまった。

 

それと同時に、「社会のためになる」学問をするというのは、国公立ならではの考え方なのかなと結論づけた。よって、自分の中で国公立大の経済系学部という選択肢は消えた。

 

また別の日。高校に地元の国公立大の教授らが来て、特別授業を行う日があった。そこで私は法や経済系の授業を選択したが、経済系学部の教授は元官僚や元銀行員といった経歴を持つ人が多いようで、それを自慢気に話していた。その方々の意識は「学問」や「研究」とは違う、もっと実務的な観点にあり、なんだか大学というより「社会人育成学校」の宣伝をしているように感じられたので、より自由に学べるのは私立大学なのかなと思った。(この認識は間違っているのかもしれない)

 

そうした経緯で私は、通っていた高校では珍しく、私大のみを志願することを決意した。とはいえまだ志望校や志望学部は決まらなかった。

 

【続く】