パンの記憶 #3 :サンドイッチとの出会いと別れ
素敵なパン本(パンがテーマになった本)と出会った私は、それ以来パンを好んで食べるようになった。
しかし、このあと私はまた1冊の本と衝撃の出会いを果たす。
タイトルは忘れてしまった。覚えているのは、訳あり主人公がカフェを経営するということ。人との付き合いにトラウマがあったが、食事を通して少しずつ心を開いていく。そんなある時、客がサンドイッチに異物が混入しているとクレームを入れてくる。しかしその異物は、客がカフェの評判を落とすために自ら入れたものであった・・・といったような内容だ。
その異物というのがなかなか衝撃的なもので、私はそれ以来サンドイッチが食べられなくなった(どれだけ影響を受けやすいんだ、自分)
月日は流れ、大学1年生の頃だっただろうか。「萌え断」呼ばれる、断面が鮮やかで美しく、美味しそうに見える豪華なサンドイッチが流行した。それを見ても、綺麗だなと思うだけで食べてみたいとは思わなかった。
大学2年のとき、何がきっかけかは忘れたが、メルヘンのサンドイッチを食べる機会があった。
いや、サンドイッチってめちゃくちゃ美味しいじゃん!
私は自らに課していた「サンドイッチ禁」を速攻で解禁した。その時食べたのは確か、ポテトサラダサンドとフルーツサンド。どちらも人生で初めて食べた。
普段からポテトサラダ自体あまり食べないため、サンドイッチにポテトサラダを挟む発想ですら謎だった。しかし、メルヘンはマヨネーズもオリジナルで作っているらしく、パンに合う合う。きゅうりから水分が出ていない!天才か!毎日食べられそう。
フルーツサンドも人生で初めてだった。それはまるで宝石箱だった。ケーキよりも軽いのに満足感もある。すっかりフルーツサンドの虜になってしまった。
それ以来、メルヘンだけでなく様々なお店のサンドイッチを食べた。「萌え断」サンドイッチも食べた。食べごたえがすごかった。野菜とキノコたっぷりのサラダ系サンドも、タンドリーチキンやテリヤキチキン、ケイジャンチキンといった超おかず系チキンサンドも、禁断のコロッケサンドも気に入った。
そしてその2年後、ふと私は気づいた。
普通のサンドイッチよりホットサンドのほうが好きだ
とろっと溶けたチーズ、熱が入って甘さが増したトマト、すこしクタッとしたレタス。そして何よりサクサクのパン耳。最高。
20歳をこえたからだろうか。温かいスープと温かい紅茶、そしてホットサンド。胃があたたまると幸せに感じるようになった。
と、ここまで書いてみて思ったのは「めちゃくちゃどうでもいいな」ということ。これを読んだ方もそう思うのではないだろうか。パンシリーズの記事はこれで終わりにします。
でも人は誰しも、パンにまつわる思い出があるのではないだろうか。パン好きでパン巡りが趣味の方ならなおさら。みなさんもぜひ、パンを軸に人生を振り返ってみてください。きっと、忘れていた何かを思い出せますよ!